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レッドウィングは時代遅れ?いや、還暦を過ぎてからが本番だ

ライフスタイル

「レッドウィング(Red Wing)」という響きに、胸が熱くなる同世代は多いはずです。 木村拓哉さんがドラマでアイリッシュセッターを履き、一大ブームを巻き起こしたあの頃。私もその熱狂に当てられた一人で、以来、かれこれ30年近くこのブーツと共に歩んできました。

最近、ネットで「レッドウィング 時代遅れ」なんていう検索ワードを見かけることがあります。

「今さら履くのは恥ずかしいのかな?」「昔の人だと思われないだろうか?」と不安になって検索された方もいるかもしれません。が、30年履き続けている私から言わせれば、それは大きな間違いです。

むしろ、還暦を過ぎ、人生の酸いも甘いも噛み分けた今こそ、このブーツは真の輝きを放つと確信しています。

そもそも、なぜ「時代遅れ」などと言われてしまうのでしょうか。理由は大きく2つあると私は考えています。

  • 90年代の爆発的ブームの印象が強すぎる: 木村拓哉さんらの影響で誰もが履いていた時代を知る人からすると、「過去の流行モノ」に見えてしまうケース。

  • 全身コテコテのアメカジ(アメカジ全開)による「タイムスリップ感」: 当時のままの太いデニムとネルシャツを合わせてしまうと、今の街並みから浮いて見えてしまうケース。

しかし、これはレッドウィングというブランド自体の価値が落ちたわけではなく、単に「合わせ方」の問題なのです。

30年選手の相棒「875」と歩む人生

私の足元を支え続けているのは、不動の定番、品番「875」。 画像を見ていただければわかる通り、タンの裏には通称「半円犬タグ」が鎮座しています。このグリーンのタグこそ、90年代のあの熱狂を知る世代にとっての証であり、今となってはかなり希少なディテールです。

30年も履けば、当然ガタもきます。少し前、ソールがすり減ったため交換に出しました。 近所の靴修理屋さんに持ち込む選択肢もありましたが、私はあえて公式の修理ルート(ABCマート経由)を選びました。理由はただひとつ、「ソールにRED WINGの文字が欲しかった」から。

完全に自己満足の世界かもしれません。しかし、歩くたびにチラリと見えるそのロゴが、所有欲を完璧に満たしてくれるのです。この「こだわり」こそが、大人がモノを長く愛でる楽しみではないでしょうか。

ベロの刻印から読み解く、1996年製のロマン

ここで、私が長年愛用している「875」のベロ(タン)の裏側にある、貴重な刻印をご紹介します。

少し見えづらいかもしれませんが、革に深く刻まれた「7 ½ E」というサイズ表記の下に、「P8」「96」という文字が確認できます。

実はレッドウィングのこの刻印、ただの製造番号ではなく、そのブーツが歩んできた「歴史」を雄弁に物語る暗号のようなものなのです。

  • 「96」が意味するもの:1996年製造の証 この「96」という数字は、製造年を表しています。つまり、このブーツは今から30年近く前、アメカジブームが日本中で最高潮を迎えていた「1996年」にアメリカで生まれた個体であるという証明です。

  • 「P8」が意味するもの:第8工場(Plant 8)の誇り 「P」は工場(Plant)を意味し、「P8」は当時レッドウィングの増産を支えていたアメリカの「第8工場」で作られたことを示しています。90年代中頃から2000年代初頭までの限られた個体にしか見られない、ヴィンテージ特有の刻印です。

90年代のレッドウィング(特にこの96年近辺のオロラセット・レザー)は、現行品とはまた違った独特の赤みや、履き込むほどに深く、重厚なツヤが出ることで知られています。

還暦を過ぎた今、こうしてベロをめくって「96」という数字を眺めるたびに、あの熱かった90年代の空気感と、それから30年近く共に歩んできた時間、そしてこれからの未来がすべてこの一足に詰まっているような気がして、愛着がさらに深まります。

ただの「古い靴」ではなく、自分と共に歳を重ねてきた「歴史の証明」。これこそが、大人がレッドウィングを履き続ける本当の贅沢なのかもしれません。

スエードの「8167」と、カスタムで遊ぶ「8138」時代遅れにさせない私の相棒たち

私の下駄箱には、他にも個性豊かな相棒たちが控えています。

まずはスエード(ラフアウトレザー)のラウンドトゥ「8167」。 モックトゥの875に比べると、どこか丸みを帯びた優しい表情を持つこのモデル。ベージュの柔らかな質感は、履き込むほどに毛羽立ち、独特の汚れや擦れさえも、まるで風景画のように「味」として吸収してくれます。スエードゆえに、雨の日などは多少神経質になりますし、出かける前に防水スプレーを念入りにかける手間もかかります。しかし、その「気を使う時間」や、帰宅後にブラッシングをするひとときさえも愛着に変わるから不思議なものです。

そして最近、遊び心でカスタムを楽しんでいるのが、深みのあるダークブラウンが魅力の「8138」です。 このブーツには、純正のジッパーユニットを装着しています。巷では汎用的なYKKのユニットを見かけることもありますが、私がこだわったのはジッパーヘッドに「RED WING」の刻印が入っていること。これがあるだけで、カスタム品でありながらブランドの正統な血統を感じさせてくれる、譲れないポイントなのです。

このジッパーユニット、実は実用面でも恐ろしいほどの威力を発揮します。座敷のある居酒屋や、急な訪問先でブーツの脱ぎ履きに四苦八苦するのは、膝や腰にガタが来始めたオジサンの宿命。しかし、このユニットがあれば、紐を解く煩わしさから解放され、驚くほどスムーズに、かつスマートに動作を完了できます。伝統的なワークブーツの武骨さを重んじつつ、現代の日本のライフスタイルに合わせた合理的な利便性を取り入れる。そんな「柔軟な大人の遊び」を楽しめるのも、長年このブランドと付き合ってきたからこその醍醐味です。

紹介した三つの品番をまとめてみますね。

品番・モデル 特徴・レザーの魅力 大人にこそ推したい理由
875
(モックトゥ)
ブランドを代表する不動の定番モデル。90年代の熱狂を象徴する佇まいで、履き込むほどに深く刻まれる革のシワや、自分だけの足型に馴染んでいく「時間の魔法」を一番に体感できる一足です。 人生の酸いも甘いも噛み分けた大人の足元を、どっしりと支えてくれる安心感があります。公式ルートでソール交換を重ねながら、10年、20年と人生を共に歩む相棒として最適です。
8167
(ラウンドトゥ)
ベージュの柔らかな質感が魅力のスエード(ラフアウト)レザー。モックトゥに比べて丸みを帯びた優しい表情を持ち、履き込むほどに独特の擦れや汚れさえも美しい「味」として吸収してくれます。 武骨すぎない上品なカジュアルさを演出できるため、大人の「引き算コーデ」に重宝します。出かける前の防水スプレーや帰宅後のブラッシングなど、手間をかける時間さえも愛着に変わるモデルです。
8138
(モックトゥ)
深みのある落ち着いたダークブラウンカラー。純正のジッパーユニット(RED WING刻印入り)を装着することで、伝統的なワークブーツの格好よさに現代的な合理性をプラスしたカスタムを楽しめます。 座敷のあるお店など、日本ならではのライフスタイルに合わせた「脱ぎ履きのスムーズさ」が抜群です。膝や腰への負担を減らしつつ、スマートで柔軟な大人の遊び心を表現できます。

店員さんがこっそり教える「禁断のモデリング術」

先日、これらの相棒を連れてなじみのセレクトショップに出かけた時のことです。 若くておしゃれな店員さんに「そのブーツ、めちゃくちゃカッコいいですね!いい味が出てます」と声をかけられ、調子に乗って新しい一足を買い足してしまいました。

その際、彼から教わった「大人がレッドウィングを今っぽく履きこなすコツ」が目から鱗でした。

 時代遅れと言わせない!「アメカジ全開」にしない引き算の美学

昔のように、太いデニムにネルシャツ……という全身アメカジスタイルは、私たちがやると「当時から時が止まった人」に見えがち。ボトムスにスラックスや細身のチノパンを合わせる「引き算」が大切だそうです。

ロールアップの塩梅

裾をダボつかせず、くるぶしが見えるか見えないかくらいで綺麗にロールアップ。これだけで30年前のスタイルが現代的にアップデートされます。

「女性誌」をモデリングする!?

一番驚いたのが、彼が内緒で教えてくれたこの秘策。 「もし女性ウケを狙うなら、あえて女性用のファッション誌を見て、その中に写っている男性のファッションをモデリングするのもアリですよ」

還暦過ぎの私に女性ウケ!?と戸惑いましたが、女性が好む「清潔感」や「理想のバランス」を取り入れるのは、大人として大切な客観的視点だと気づかされました。

若い世代にこそ、この「時間の魔法」を味わってほしい

レッドウィングは、決して私たち「元・アメカジ少年」たちだけの特権ではありません。むしろ、今の若い世代の方々にこそ、どんどん履いてほしいと思っています。

今は何でもクリック一つで手に入り、トレンドも目まぐるしく変わる時代です。そんな今だからこそ、「10年、20年、30年と付き合える道具」を持つ喜びを知ってほしいのです。

最初は硬くて靴擦れするかもしれません。重たくて嫌になるかもしれません。 でも、それを乗り越えて自分の足に馴染んだとき、その一足は世界にたった一つの「自分の分身」になります。私が今、30年前のブーツを誇らしく履いているように、皆さんが30年後、白髪混じりになったときに「これは20代の頃に買ったんだよ」と笑って語れる相棒を育ててほしいのです。

時代遅れではなく、それは「スタイル」

もし「時代遅れかな?」と躊躇している同世代の方がいたら、自信を持って履き続けてください。そして、もしレッドウィングに興味を持っている若い方がいたら、ぜひその扉を叩いてみてください。

30年経って、少し丸くなった自分の背中と、深く刻まれた革のシワ。 それらが重なり合ったとき、最高にクールなスタイルが完成します。

新しい一足を買い足した今、それらを履き潰すにはまだまだ時間がかかりそうです。人生100年時代、女性誌をチラ見(笑)しながら、その若い世代の新鮮なスタイルに刺激を受けながら、このブーツと一緒に、もっと遠くまで歩いてみようと思います。

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