昨日、一昨日と降り続いた雨が嘘のように止み、雲ひとつない青空が広がった今日。 大和市にある桜の名所、高座渋谷の「千本桜」へ行ってきました。
引地川沿いに続くこの桜並木は、この時期になると息を呑むような美しさを見せてくれます。
[高座渋谷の千本桜の風景]

例年、午前中からお昼過ぎにかけては多くの花見客で賑わいますが、混雑を避けて夕方の16時頃に足を運びました。
傾きかけた太陽の光が桜の花びらを優しく照らし、川面に映るピンク色の影がゆらゆらと揺れる、とても静かで穏やかな時間。 雨上がり特有の、しっとりとした空気感がとても心地よく感じられました。
[引地川にせり出す桜の枝]

実は今回の花見には、大切な目的がありました。
手元にある黒い袋。 この中には、ガラスの瓶。空へと旅立った母が眠っています。
「母さんに、今年もこの綺麗な桜を見せてあげたい」
そんな想いから、一緒に出かけることに決めたのです。
[桜を背景に母を抱いて]

母が元気だった頃、一緒に花を眺めた記憶が昨日のことのように思い出されます。 風が吹くたびに舞い散る花びらを見つめながら、心の中で母にたくさん話しかけました。
「雨が止んでよかったね」 「今年も、こんなに綺麗に咲いているよ」
並木道を歩いていると、まるで母も隣で「綺麗だね」と微笑んでいるような、そんな温かい気持ちに包まれました。
[夕暮れ時の桜並木道]

還暦をとっくに過ぎた今の自分。 ふと、この満開の桜を見つめながら「あと何回、こうしてこの景色を見られるのかな」と、少し切ない気持ちが胸をかすめました。
桜は、その美しさゆえに、散りゆく姿が命の尊さを教えてくれるようです。 だからこそ、今日という日を、この瞬間を、母と共に大切に過ごせたことが本当に愛おしく感じます。
「今日という日を、しっかり生きよう」
そんな強い思いが、桜の向こうに見えた青空に重なりました。
[夕日に照らされる桜の道]
16時という時間帯は、喧騒が落ち着き、ゆっくりと自分たちのペースで桜と向き合うには最高のタイミングでした。 今日この場所へ、母と一緒に来られたことに心から感謝しています。
季節は巡り、また来年も桜は咲きます。 その時もまた、こうして母と一緒に穏やかな春の光を感じに来たいと思います。
皆さんは、今年の桜を誰と見ましたか?
【番外編】桜の苗木はどうやってアメリカへ渡るのか?
桜を見上げながらふと思い出したのが、高市首相がトランプ大統領に桜の苗木250本を贈呈するというニュースです。ふと、「あんなにデリケートな植物をどうやって海を越えて運ぶのだろう?」と疑問に思いました。
調べてみると、そこには驚くほどの手間と技術が詰まっていました。
- 土は持ち込めない: 国際的なルールで、病害虫を防ぐために土付きの植物は輸送できません。そのため、根を綺麗に洗浄し、土の代わりに湿らせたミズゴケなどで保護して運びます。
- 厳しい検疫: 100年以上前の贈呈時には、害虫が見つかり焼却処分されるという悲しい歴史もありました。現在は、日本国内で数年かけて無菌状態で育て、厳しい検査をクリアした精鋭たちが選ばれます。
- 温度管理された空輸: 苗木が「休眠」している冬から春先にかけて、温度管理ができる専用のコンテナに入れられ、飛行機で運ばれます。
海を越えて植えられる250本の桜。 いつかそれらが大きく育ち、アメリカの地でも誰かを励まし、大切な人を思い出すきっかけになるのかと思うと、日本の桜の生命力の強さを改めて感じます。
アクセス情報
- 場所:神奈川県大和市 福田周辺(引地川沿い)
- 最寄駅:小田急江ノ島線「高座渋谷駅」より徒歩約10〜15分

