25年前の情景から生まれた詩
25年前のある日。
知り合いの女性が故郷へ帰ることになり、引っ越し屋さんの立ち会いを私がすることになりました。
彼女とは、時々、終電までお互いに酔っぱらうほど飲むような仲でした。
ある時、彼女から「実家に帰るから、引っ越し屋さんの立ち会いをしてくれない?」と言われました。
しぶしぶと引き受けた……なんて、ウソです(笑)。
彼女から頼られるのは嬉しいに決まっています。
ただ、彼女の生活や職場で何があったのか、詳しい事情は聞かされていませんでした。
「故郷へ帰る」
聞いたのは、ただそれだけ。
前向きな姿勢や考え方が素敵な人でした。
そんな彼女が故郷へ帰ると言ったとき、根性のない私は「そうなんだ……」としか言えませんでした。
今思えば、あのとき何か言っていたら、どうなっていたんでしょうね。
荷物の山に囲まれた部屋に座り、引っ越し屋さんが来るのを待っていました。
ベランダを叩く雨の音が、やたらと寂しく聞こえます。
「それでいいの?」
まるで雨が、そう囁いているようでした。
結局、彼女は故郷へ帰っていきました。
あれから25年。
最近になって、偶然、またメールのやり取りができるようになりました。
雨の音が聞こえると、あの日の寂しい雨音を思い出します。
あのとき、何か言っていたら、今は違っていたのでしょうか。
そんな気持ちを、歌にしてみることにしました。
曲のタイトルは、
「窓を開けてみてもいいかな」
25年経った今、あの日のことを聞いてみたい。
でも、いきなり聞くのも照れくさい。
そこで、窓を開けてみてもいいかな。。いう言葉で、ちょっとカッコつけてみました(笑)。
今回の詩で、私が一番好きなところです。色んな意味を含ませたつもりです。
今回の曲作りの目標
今回の目標は、Aメロ、Bメロ、サビを分かりやすく整理して、SUNOに歌ってもらうことでした。
経験上、AメロとBメロの区別が分かりにくいと、SUNOくんも、どんな感じで歌えばいいのか迷っているように聞こえることがあります。
「どう歌えばいいの~!」
遠くからSUNOくんの叫び声が聞こえた気がしました。
気がしただけです(笑)。
ところが、ここには悩ましい問題があります。
歌詞の文字数やリズムを均等にそろえると、ベタ読み、ベタ歌いになりがちです。
かといって、文字数やリズムを変えると、1番と2番で別のメロディになってしまうことがあります。
私「どっち?」
SUNO「いや、気分で決める」
私「おい!!!」
……というやり取りになるわけですが、こちらの思いどおりにならないところも、また楽しいのです。
今回は、1番と2番のメロディをそろえながら、自然に歌える詩を目指しました。
作文から詩へ。作詞だけは自分でしたい
作詞だけは自分でする。
これだけは譲れません。
普段はかなりいい加減で、優柔不断なところもあります。
でも、作詞だけは自分でしたいのです。
日常の中で、小さなことでも「あ、素敵だな」と思ったら、それを形にしたくなります。
それも、自分の言葉で。
今回も、まずは思いついたことをラフに書き留めました。
いつもの私のやり方です。
ただし、今回は原稿用紙3枚の世界になりました(笑)。
作文を削って、最初にできた詩は518文字。
完成形は301文字。
文字数カウンターに入れて確認しました。
こういうとき、数字が見えると面白いですね。
なかなか削れないんですよ。
自分で書いた言葉ですから、どれも残しておきたくなります。
でも、長すぎるとSUNOくんが歌い方に困ることもあります。
伝えたいことを残しながら、歌として成立する長さにまとめる。
作文を詩に変える作業も、なかなか奥が深いものです。
当然、マイボイスです
今回の目標は、もうひとつありました。
「私の声で歌っている私……だれ?」
この状態を作ることです(笑)。
SUNOの歌声は、いろいろなところで耳にします。
低音からファルセットまで、都会的な曲から場末のスナックで流れていそうな曲まで……。
いや、場末のスナック、これは冗談です(笑)。
なかなかの売れっ子で、曲を聴いていると「あ、またこの声だ」と思うことがあります。
色んな曲で被る。。そこで、マイボイスを使っています。
被る。。。もちろん、お面の話ではありません(笑)。
自分の声を使うことで、多少なりとも独自性を出せるのではないかと考えています。
マイボイスのメリットとデメリット
メリットは、やはり自分らしさを出せること。
一方で、デメリットもあります。
録音した声の音域が狭いと、歌えるメロディにも制約が出てきます。
私は低音が出ません。
かといって、高音も出ません。
「じゃ歌うな!」という声が聞こえてきそうですが、許してやってください(笑)。
目指しているのは、今の自分がそのまま歌うことではありません。
「私より上手な私」
自分の声を生かしながら、自分では難しい歌い方までしてくれる。
そんな、自分でもちょっと驚くような曲を作ってみたいのです。
出来上がった曲です
私のチャンネルの世界観
私が好きな音楽の世界観は、こんな感じです。
- 大人っぽい
- 少し都会的
- 余白がある
- 夜や夕暮れが似合う
- 恋愛や思い出を感じる
ええ、カッコつけすぎですね(笑)。
でも、何でもありというわけではありません。
自分のチャンネルで作る曲には、ある程度の統一感を持たせたいと思っています。
今回は、雨の日の切なさを表現したかったので、まずはAORのプロンプトから始めました。
まずは様子見。ところが切なさが足りない
さっそくSUNOで曲を作ってみました。
今回は、1番と2番の構成をきちんと理解してくれたようです。
Aメロ、Bメロも、それなりに狙った形になっています。
これは嬉しい。
ところが、肝心の切なさが足りません。
ちゃんと歌ってくれることと、気持ちを表現してくれることは別なんですね。
そこで、どこかで見かけたプロンプトを思い出しました。
「メランコリー」です。
哀愁を感じさせるには、いい言葉かもしれません。
ちなみに、私の世代でメランコリーと聞くと、梓みちよさんの「メランコリー」を思い出す方もいるのではないでしょうか。
緑のインクで手紙を書く、あの歌です。
知らない方には、何の話か分かりませんね(笑)。
哀愁を足したら、今度は演歌の一歩手前
さっそくプロンプトを変えて再挑戦。
すると今度は、哀愁や切なさを表現しすぎたのか、演歌の一歩手前のような雰囲気になってしまいました。
危ない、危ない(笑)。
慌てて元のプロンプトに戻します。
それでも、なかなか思ったようなAORにはなりません。
フォーク&歌謡曲っぽさが出てしまうのです。
雨の日の切なさは欲しい。
でも、演歌にはしたくない。
都会的なAORにしたい。
SUNOくんに注文するのも、なかなか難しいものです。
煮詰まったら、次の日大作戦
私が経験上、かなり効果的だと思っている方法があります。
それは、次の日にリトライすること。
プロンプトをあれこれいじっていると、どんどん迷路に入ってしまうことがあります。
そんなときは、いったんやめて、翌日にもう一度挑戦します。
すると、意外なほどあっさり好きな曲ができることがあります。
もちろん、毎回うまくいくわけではありません。
それでも、煮詰まったときには試す価値があります。
そして今回も、次の日大作戦。
成功しました!
好きな雰囲気に近づいてきました。
野球選手なら首位打者かもしれない。
……というくらい、私にとっては嬉しい成功でした(笑)。
バラードにしてもいいのだろうか?
ところが、ここでまた悩みます。
今回の曲は、最初に考えていたAORのイメージとは少し違います。
バラード寄りの曲です。
「私のチャンネルの方向性と違うかな?」
そんなことが気になりました。
でも、よく考えてみれば、AORには印象的なバラードもたくさんあります。
ボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルの曲にも、しっとりと聴かせる魅力があります。
もちろん、私の曲を大御所の皆さんと一緒にするつもりはありません。
あくまでも、バラードだからといってAORの世界観から外れるわけではない、という説明です(笑)。
好奇心旺盛なオジサンですから、好きな曲ができたら試してみたくなります。
そして、アコースティックバラードに出会う
AORのプロンプトで、なかなか好きな曲ができました。
でも、ここで欲が出ます。
「もうひとつ、いい曲ができないかな?」
いわゆる、二匹目のどじょうを狙うというやつです(笑)。
そこで、SUNO内で見かけた「J-pop 90s acoustic ballad」というプロンプトを試してみました。
アコースティックバラードです。
これが、なかなか好きな感じになりました。
AORのプロンプトで作っていると、イントロの雰囲気が似通ってくることも気になっていました。
このままでは、曲名を当てる前にイントロだけで全部同じに聞こえてしまうかもしれません。
イントロ当てクイズを開催しても、参加者から文句が出そうです(笑)。
今回は、少し違うアプローチを試したことで、新しい選択肢が見つかりました。
チャンネルの世界観を大切にしながら、曲に合ったサウンドを探していく。
これも、音楽作りの楽しさだと思います。
4曲から決戦投票
SUNOでは、ひとつの生成で複数の曲ができるので、最後は候補の中から選ぶことになります。
今回は4曲を聴き比べて、決戦投票です。
私がチェックしているのは、主に次の4つ。
- 歌い出しが好きか
- Bメロの歌い出しが自然か
- サビのメロディが気に入ったか
- 自分でも歌いやすいか
特に最後の「自分でも歌いやすいか」は重要です。
どんなに完成度が高くても、自分では歌えそうにないメロディだと、ちょっと困ります。
私が目指しているのは、プロの歌手しか歌えない曲ではありません。
あくまでも「私より上手な私」が歌ってくれる曲ですから(笑)。
今回の曲も、そんな基準で選びました。
楽しい趣味が、またひとつ
SUNOで曲を作るのと並行して、多重録音の練習も続けています。
どちらも楽しいです。
分からないことが出てきても、それはそれで面白い。
試してみて、うまくいかなくて、少し考えて、また挑戦する。
思ったとおりにならないからこそ、好きな曲ができたときの喜びも大きくなります。
次はどんな曲ができるのだろう。
そんなことを考えながら、今日もまたSUNOのガチャを回しています。
さて、次の日大作戦は、次も成功するのでしょうか。
それは、SUNOくんに聞いてみないと分かりません(笑)。
